gradiolus' blog

主に日々のまとめ。たまに映画と本のこと。

青井秋「いとめぐりの素描」感想

いとめぐりの素描 (バーズコミックス スピカコレクション)


家のこと、就活のこと、自分の将来のこと
才能のこと、本当にやりたいこと。

この頃思い悩むことが多い。
その日の午前、大学のキャリア支援センターで相談し、大泣きした。
自分の進路のことを話したら、涙が溢れて、ボロボロ泣いた。

たやすく決壊した涙腺は、簡単には修復できない。
家に帰ったら、青井秋先生の「いとめぐりの素描」が届いていた。
いつもながら、美しく細やかで繊細な表紙。
ゆっくり、丁寧に開く。
作者コメント欄。先生のコメントですでに大泣きをした。
「禍福は糾える縄の如し」
その場に崩れて、大泣きをした。
糾える縄の如くあるなるば、いずれ、私のこの禍も去って、福が来るのだろうか。涙が止まらなかった。

ひとまず泣き止んで、ご飯を食べる。
食べながら読む。私の悪いクセだ。
だが、食に集中できない。

私は明に感情移入した。
明の、自分のバレエの才能への諦めと、押し殺していた悔しさ。自分の道を疑うことなく突き進む、縫子への嫉妬。
ボロボロ涙が出る。わかる、わかるよ。
「就職しないと」
と、自分の望む未来を諦めようとする明の選択・逡巡が、美しい筆致で鮮やかに描き上げられている。その姿を自分に重ねて涙した。

ーー何も才能がない。
縫子・明のふたりと自分を比べてそのように思う友枝の心もまた、豊かに書き出されている。
ーーでも、大事なものがある。
自分の最も大切なものを、大切にし続けることもまた、ひとつの才能だとはいえないだろうか?

自分にとって大切なものを守り、自分の望む生き方を選んだ三人のその後は、豊かなものとして私たちの前に提示される。
あまりにも完璧すぎる未来は、夢物語のように見える。
けれどその未来は、諦めなかったものにだけ与えられる、ご褒美のようにも思えるのだ。

私はあなたを信じています。私は私を信じています。私は知っています。信頼することが、信頼に足る世界をもたらすことを。f:id:gradiolus:20150926061750j:image

私の好きなビブリオマンシー(本占い)のための本に書かれている言葉だ。
青井秋先生の「いとめぐりの素描」はまさにこの言葉を体現したかのような物語だ。
夢を諦めかけていた私は、かつて私も過ごした女子高生という歳月のなかで悩み逡巡する彼女たちから大きな勇気をもらって、夢を抱き続けることに決めた。